背を押す味わい
歳経る毎に食事の冷たさを
厭う様になりました。
冷たくして美味しいものを
冷たい状態で食べるのは
良いのですが、折角の温かい一膳を
冷めた状態で食するのは出来る限り
避けたいと言う気持ちが年毎に
強まっております。
気持ちが冷えていても温かい一膳の
作用で暖まって解けてサア次を!と
言う心持になる事もございますから。
時間が圧していたり懐加減がやや心許無い時、
筆者はさっくり済む丼物を選んでおります。
この天亭と言う店、読んで字の如く天丼が
売りの店ではございますが筆者が好んで
頼む品はみそかつ丼だったり致します。
名古屋名物の味噌カツを丼に仕立てたみそかつ丼。
有態に言えばほんのり甘い赤味噌だれに
潜らせた豚カツに半熟卵を添えて
供される丼でございます。
その強過ぎない甘味が時に程好く背を推して
くれるのです。
カウンターのみの店内、たまには少々待つ時も
ございます。
それでもあの脂と程好く馴染む甘味を求めて
筆者は待つのです。